出版社内容情報
クリスマスの起源や慣習、 世界各地で独自に発展した祝い方まで。強大な影響力を持つ祝祭として時に禁じられ、時に政治利用されてきたクリスマスの多面的な歴史を 豊富な図版(85 点)で解説するクリスマス史の決定版。
内容説明
時に禁じられ、時に政治利用される。世界で最も影響力をもつ祝祭のすべて。古代ローマに遡る起源から、慣習、世界各地で独自に発展した祝い方まで、クリスマス2000年の歴史を、宗教、政治、文化の観点から豊富な図版で解説するクリスマス史の決定版。
目次
1章 クリスマスの起源
2章 初期の祝祭と慣習
3章 クリスマスの文化と芸術
4章 禁じられたクリスマス
5章 異郷でのクリスマス
6章 クリスマスと商業主義
7章 クリスマスの登場人物たち
8章 クリスマスの世界戦略
9章 公共空間でのクリスマス
10章 クリスマスと教会
著者等紹介
ムーア,タラ[ムーア,タラ] [Moore,Tara]
ペンシルヴェニア州立大学エリザベスタウン・カレッジでプロフェッショナル・ライティング・プログラムの責任者を務める
大島力[オオシマチカラ]
1953年生まれ。東北大学文学部史学科卒、東京神学大学大学院博士課程後期修了、神学博士。現在、青山学院大学教授。専門は旧約聖書学
黒木章人[クロキフミヒト]
翻訳家。立命館大学産業社会学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
27
クリスマスの起源から現在の商業的な変遷とその謎を解く本書。ただ生誕を祝うだけなのに……英国での成り立ちは14世紀。その挿絵が『幼児の大虐殺』なのは何故なのか。世界のキリスト教から始まったが、クリスマスの日付は実は曖昧で誤謬である……という説がある。宗教間の問題や戦争、今は当たり前に観ることができる映画や小説と照らし合わせクリスマスの【変化】を角度を変えながら紹介。特にディケンズの影響は大きい。その他にアメリカのアーミッシュでは少し変わった慣習があったり、サンタの原型はベルスニッケルであったりと秘話が満載。2023/12/25
jackbdc
14
日本人にとってクリスマスは間違いなく特別なイベントである。キリスト教国でもない日本にキリスト教のイベントがローカライズされてここまで定着したのは不思議である。本書は地球規模の広い視野でクリスマスの歴史を綴った本だが、この日本の特殊性についても、しっかりと紙面を割いて鋭い分析を加えていた。最も印象に残ったのは、日本文化にクリスマスを受容する素地があったと論じる部分。例えば鏡餅とクリスマスケーキ、紅白の色彩やナマハゲとサンタクロースの相似性等を指摘。意識した事も無かったのだが言われてみて当を得ていると驚いた。2022/05/26
拡がる読書会@大阪
4
クリスマスの起源について宗教や政治、そして文化的な視点から豊富な資料を並べて解説している本です。 元は収穫祭的なお祭りから始まったそうなんですが、キリスト教を広めるためだったり、色んな理由によって今の祝日としての形になってきました。 キリスト教の祝日なんですが、時代によってはキリスト教によって迫害の対象になっていたりいたそうです。 クリスマスの起源を知ることでもっと祝日を楽しむことに深みが出るかもしれません。 https://note.com/sharebookworld/n/n6fa1e91932712023/12/17
yahiro
2
非常に興味深かった。日本では、「恋人と一緒に過ごすなど、クリスマスの主旨に反する」と自虐的に言うことが多いが、そもそも「正しいクリスマス」などなく、もともとが世俗的なお祭り、holidayの意味合いが強いのだろう。むしろ、中世の為政者はクリスマスを禁じたり、弾圧したりというのも見て、意外な歴史を感じた。もっとも、過度にキリスト教色がないところも、世界に広まった要素だとも考えられる。商業主義でもなんでも、楽しければそれでいい、というのが着地点でしょう。2023/05/21
水無月
1
現在の、19世紀に英米で再発明された家庭的なクリスマスは、共産主義政権による統制等にも屈せず、意識下で残る宗教という枠を離れて、大衆の祝祭として根付いている。そこには宗教を求める心より、家族との時間や人との温もりを求める心情が強い。戦場で、遠い異国で、人々がクリスマスを祝う事に執着する様からも垣間見得る。主な内容は商業的クリスマスに至る変容と近代以降の俗事に関して。家庭より恋人が強調される日本には“1年365日クリスマス”が楽しめるラブホテルが存在するらしい。だいぶズレてる。何してるの日本。2022/12/17