内容説明
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ELSIとは倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)の頭文字をとったもので、「エルシー」と読まれている。新規科学技術を研究開発し、社会実装する際に生じうる、技術的課題以外のあらゆる課題を含む。ELSIは新規科学技術を社会や政策に橋渡しするために有用な概念である。人文社会科学系の研究者らに一定の研究費が継続的に投じられたことは、先駆的であり、データサイエンスとAIの適用に倫理原則や社会受容性が求められる現在に多くの示唆を与えるものであった。本書は、オープンに議論を展開し、相互に学びあい、問題解決に資する社会制度を創り上げていくという考えのもととなっているELSIの現在の動向を紹介する。
目次
【第Ⅰ部 概要・視座】
第1章 科学技術をめぐる視座:倫理的・法的・社会的課題(ELSI)から責任ある研究・イノベーション(RRI)まで
第2章 環境とELSI:広義なELSI概念の実現に向けて
第3章 科学的知識と分配的正義:科学技術をめぐる社会的不平等を考えるということ
【第Ⅱ部 省察的実践】
第4章 研究開発の倫理:倫理規範から実践へ
第5章 ELSI/RRIをめぐる産学連携:大阪大学社会技術共創研究センターと株式会社メルカリmercari R4Dの事例から
第6章 エシックス・ウォッシング:倫理が方便になるとき
第7章 デュアルユース:知識・技術の転用可能性をめぐるガバナンスと規範
第8章 患者・市民参画:「なぜ」「どのように」患者・市民とともに研究を進めるのか
【第Ⅲ部 事例】
第9章 トラッキング技術:信頼・監視・個人をめぐる連環と緊張
第10章 生成AI:それは誰のためのものか
第11章 エドテック:教育データ利活用に特有のELSI
第12章 サイバネティック・アバターのELSI:技術哲学からの検討
第13章 ニューロバイオテクノロジー:研究開発,ELSI,ガバナンスの動向とこれから
第14章 クライメイト・テック:気候変動とどう付き合うか
第15章 宇宙技術とELSI:宇宙の利活用をめぐる諸論点
第16章 量子技術のELSI:諸論点とケーススタディ